2009年3月17日火曜日

FARLEY'S

ポトレロヒルの丘に、Farley's というカフェがあります。
雑誌屋さん兼アート・カフェとして、ローカルに人気のカフェで私もたまにランチタイムにここに来て、ほっとひと息つくのが好きです。たまたま立ち寄った日はSt. Patrick's Day でお店の片隅では白髪のおじいさんがアコーデオンで、アイリッシュ音楽を弾いていました。

なんとまぁ。素敵な音色♪

素朴で懐かしい感じがするアイリッシュ音楽をBGMにSt.Patrick's Day の雰囲気だけでも味わってちょ〜!


アコーディオンに聴き入っているとおじいさんがちょっと休憩して舞台挨拶をはじめました。「え〜。今日はFarley's の20周記念です。私たちは20年前から毎年こうやって音楽でお祝いをしに来ています。」

20年も!

どうりであたかもずっと昔からそこにいるかの様な存在感。しばらく通い続けているFarley's ファンの私ですがそんなに長い歴史があったとは知りませんでした。ちなみにおじいさんにすすめられて、ファーリーズの生い立ちについて書かれた記事がのったTHE POTRERO VIEW という超ローカルペーパーを読んでみました。

サンフランシスコ大学在学中に一年間ヨーロッパを周遊したオーナーのHillyardさん、卒業後さらに大学院で東洋学と写真を専攻中、伝説のロック・プロモータービル・グレイハム に雇われてSan Francisco Mime Troupeのショーをプロデュース。

60年代妻と共にニュー・メキシコに移住。電気も水道も無い生活を始めます。その後ボストンに移り住み、3年間クシ・インステチュートでマクロバイオティックフードを学んだ後、ボロバン(だったと思われる・・)で南カリフォルニアのオーガニックファームやナチュラル・フードストアを視察してまわり、テキサスのナチュラル・フード会社に就職。その後サンタ・クルーズで13年過ごした後、友達のレストラン経営を手伝いに来たミル・バレーを経て、1988年サンフランシスコに戻って来ます。

当時からこだわり派だったと見受けられるHillyardさんですが、ある時壊れたフレンチ・プレス・コーヒーポットを買い替えようと探してもどこにも見当たらず、コーヒーとアクセサリーの店をやればきっと当たるはず!との名案が浮かびます。早速ポトレロの18stに店舗を借り、何の許可書も計画もないままにただ”Let's do this!”という意気込みでもって現在のお店のスケッチを完成させたそうです。

はじめはカフェにするつもりは無かった筈が、取り付けた雑誌棚の横に次第にテーブルと椅子が並べられ、知らずのうちに勝手にひとが集まり出しました。こうしてFarley's はお客さんや近隣の人たちを取り込んだオーガニックな形で発展していったそうです。

1989年のバレンタインにカフェとしてソフト・オープニングをした後、ちょうど20年前の聖・パトリック祭の3月17日についに Farley's 誕生!

Jefferson Airplane、Janis Joplin, The Grateful Dead など60-70年代を代表するミュージシャンのコンサートをプロデュースしたカリスマ的人物のBill Grahamのもとで働いたり、ニューメキシコで電気も水道も無い暮らしをしたり、世界に自然食ブームを巻き起こした久司道夫氏が設立したクシ・インスティチュートで学んだり、、、Hillyardさんの人生はかなり濃厚です。Farley's 誕生の背後にこんなストーリーがあったとは想像もしませんでした。

Farley's の開放的でLaid Backな雰囲気はサンフランシスコっぽくて大好きですが、歴史を知ってさらに親近感が湧いてきました。"community in the cup"のキャッチフレーズが可愛らしいFarley's のカップからもコミュニティーを大事にする気持ちが伝わって来るのでした。


(ついつい捨てるのがもったいない・・)

なんとなく人が集まって、アートを飾ったり、音楽を披露したり。こういう地域色の強いカフェはずっと変わらずこのままでいて欲しいです。

たまたま20周年に居合わせてしまったラッキーな私。SOYラッテを飲みながら記事を読み終えるころ、ちょうどおじいさんの哀愁漂うアイリッシュ音楽が終わりました。「また来年!」と微笑んでくれるおじいさんに微笑み返し、店を出たのでした。

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